慧眼 2019 11 17

書名 2020 長谷川慶太郎の大局を読む
著者 長谷川 慶太郎  徳間書店

 人間は、必ず死ぬ。
たとえば、この文章を読んでいる人でも、
100年後には、この世に存在しない。
 庶民も富豪も独裁者も、
死が迫ってきていることに気づかない。
誰も「死の時計」は止めることはできない。
 しかし、長谷川慶太郎氏の著作を、
もう読むことができないと思うと、
「時間よ、止まれ」と思いたくなる。
 しかし、長谷川氏は、どう思っていたのだろうか。
「もう引退させてくれ」と思っていたのかもしれません。
最近の著書は、日本人や日本への「書き置き」のようにも思える。
 最後まで元気だった祖母の言葉を思い出す。
長らく「長生きをしたい」と思っていたが、
知人や友人に先立たれてしまうと、
「どうして、自分には、お迎えが来ないのか」と思いたくなる。
 91歳の長谷川氏も、よき友だった、
あるいはライバルだった文筆家たちが先立つのを見て、
そう思ったのかもしれません。
 しかし、日本にとっては、損失だったかもしれません。
日本の軍師として筆を奮ってきた長谷川氏。
 さよなら。
数百年後、数千年後、またどこかの国で、
同じ時代に生まれ合わせて、
「未来の長谷川氏」の著作を読むかもしれません。

班馬鳴

青山横北郭
白水遶東城
此地一為別
孤蓬万里征
浮雲遊子意
落日故人情
揮手自茲去
蕭蕭班馬鳴

李白 「送友人」 

街の北方に、青々とした山が横たわり、
東方には、夕陽を受けて、白く輝く川が流れている。
今、この地に別れを告げて、
一本のよもぎが、風で飛ばされていくように、
遙か彼方へと旅立っていく。
ぽっかりと空に浮んでいる雲は、旅立つ心のようであり、
沈みかけている夕陽は、私の心を表わしているようでもある。
別れの悲しみを、馬のいななきが告げる。




































































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